これからのシェフに求められるものはおいしい料理を作る技術ではない

私以前にも述べましたが、料理を体系的に学びましたし、調理師の免許も持っています。
現役ではないので、技術力はないですが・・・


調理の現場(厨房)で最近起こっている風潮をリサーチして思うことがあります。
(これはいわゆる西洋や中華料理についての記述です。日本料理のことは余り知識がないので分かりませんが、同様の風潮はあってしかるべきだと、この点は予想しています)


それは、これからの料理人(シェフ)に必須なものは、少なくても、おいしいものを作るテクニックではないのです。



それでは必要なものは何か?


それはお客様の期待を超えるメニューを構成でき、盛り付けができるという「食の知識とそれに裏付けられた
クリエイティブな頭脳」こそ必要です。


はい。
そして、そのためには、もちろん人や厨房機器、食材などのコストなどを含めた運用も必須です。
おいしい料理についても作れるほどに知っている必要があります。おいしいものが作れないと現場の部下も言うことを聞いてくれないという様々な問題もあるでしょうし…


でも、あえて言えば、「作る技術」だけは今後、益々必要のないものとなっていくでしょう。シェフにとって…


何故か?


まず一点は、本質的な話ですが、もともと、シェフとは、厨房を取り仕切る管理職なのです。
人や食材、商品(料理)を厨房という区域若しくはレストラン全体として管理する責任者です。



会社でいうところの社長職を含めた管理職で、例えるなら、技術屋から抜擢された社長みたいなものであり、
その職種はスペシャリスト(専門職)ではなくゼネラリスト(総合職)なのです。


調理師とはスペシャリスト(専門職)であります。いわゆる職人です。
そしてそれを組織してサービスを提供するのがシェフ(総合職)なのです。


だから、「どこぞの中華のオーナーシェフ自ら作るチャーハンはまずいが、あの店はおいしい」
というまことしやかな噂をみみにした経験がありますが、それはそれで良いんだと思います。




そして、二点目は、厨房機器の技術革新です。


戦争において、「武器が変われば戦略が変わる」といいます。
長篠の合戦」においては、鉄砲という新技術の特徴を活かして戦略を決定し見事勝利を収めた信長のように。


厨房機器も、皆さんに馴染み深いところで言えば「圧力鍋」などがそれにあたります。


余談ですが、ケンタッキーフライドチキン創始者カーネルサンダースは、
フライドチキンの開発において、圧力鍋との衝撃的な出会いがあったといいます。



そして、最近ではフランスで誕生した「真空調理」という調理技術がそれにあたります。
これはフォアグラのパテの調理法として、開発されたもので、
簡単にいうと、ボンカレーのレトルトみたいなものです(専門的になるので詳しくは次回以降)。


この真空調理があると、例えば、「鴨のロース」これをフランスの一級の職人以上においしく調理することができるのです。
しかも、一度に大量に…
私でも誰でも真空調理で使用する、真空調理器とスチームオーブンがあれば、厨房でボタン一つでできる画期的な機械なのです。


最近、結婚式とかで、鴨のローストやロースとビーフを食べて、「やわらかくて、キレイに火が通ってて、おいしい」と思った経験のある方は、少なくないと思いますが、それらはほぼ間違いなく真空調理されたものです。


一昔、10数年以前は、結婚式では、一度に50人もの鴨のローストを提供するということで、
その火加減がとても難しく、調理したものを再加熱して、暖めて出すなど、2回熱を加えるうちに、肉が堅くなったり、ぱさぱさしたりしてしまい食べれるものではありませんでしたが。


技術革新がそれをおいしくしたのです。




そして、ここで注目すべきは、「誰が作ってもおいしく作れる」という点です。


そう、今、調理機器業界では、恐らく開発コンセプトとして「バイトなどの誰が作っても
一流のシェフと同様の料理が作れる調理器具」の開発を目指しているようです。




ということでちょっと中途半端ですが続きは明日へ