帝国ホテル総料理長の言葉

昨日プロフェッショナルというNHKの番組を見ました。


現帝国ホテル総料理長、あの伝説のシェフにして「ムッシュ」の愛称を持つ村上信夫氏の後継者です。


ムッシュと言えば、以前紹介した、日本フランス料理界の生みの親・志度藤雄氏もそう呼ばれていました。


しかし、村上信夫氏は、東京オリンピックで日本の調理技術を世界に納得させたことでも功績があり、キューピーの料理番組でも有名な人です。


まさに、当時、カリスマ料理人として、頂点に君臨していた人です。


その後継者、ということで彼は、総料理長職に就いたとき、
職人との軋轢に非常に気を揉んだそうです。
先輩30人を飛び越え、異例の若手を起用すると言う形をとったねたみ見たいなものも正直あったのでしょう。
非常に難しいポジションです。



そして、良い悪いは別にして、帝国ホテルの料理は当時から非常に保守的でした。



それがバブル崩壊以降の業績の悪化につながる要因ともなるのですが、
彼は、20年固定されたメニューを一新します。


カリスマ料理人の料理を変更するわけですから、非常に現場からの抵抗があるわけです。
しかし、時代のニーズは変化します。
そのお客様の舌に合わせようと言うものです。



そして、彼は帝国ホテル取締役の地位にいて、常に現場指揮をるため厨房に入り、時間があると、
下ごしらえの手伝いをします。


カリスマでもなんでもない凡人を自認する、人格者の総料理長は、部下に背中を見せるという極めて謙虚な行為で、部下にその後に続かせようとします。



そして、これが功を奏するのです。



今では、帝国ホテル総料理長として、部下400人を束ねる要職を見事にこなされているのです。



今日の言葉


「伝統は攻めてこそ守られる」




あの、老舗、帝国ホテルの総料理長が言うんです。重みが違います。
そして、私はこれこそ、「温故知新」の正しい解釈のように思えます。