真のワンマン経営とは

先日に続き「小さな飲食店成功のバイブル」より引用。


今日の言葉


「多くの意見に耳を傾けた後、一人で決断を下す経営をワンマン経営と呼ぶ」



と、ネガティブな印象となりがちの「ワンマン経営」について、その本質にとってカテゴライズ
し直した見解です。


また本書において、
「経営を理解している人材の多種多様な見解に素直に耳を傾けた後、自分自身で決断を下す」
としており、専門職である経営というものを理解している人材とは、社外で現実に経営を行っている経営者
を指す、としている。



話は転じて、現在、世界において最も優れた統治手法とされているものは、「民主主義」である。
それは「絶対君主制」からの脱却の歴史があり、その意味において、歴史は消去法によって決定されている。


絶対君主制は一人の天才的なカリスマがその才能により統治する、非常に効率的な政治運営手段であるが、
天才的な君主が世代交代したときに往々にして、その人物と同等若しくはそれ以上の才能を持った人物がその座に着く可能性はきわめて低く、100年、200年と世代を超えて統治していかなければならないという、統治手法としては、天才的な人物の寿命が尽き、その後の人材の補強が不確定なので、統治方法として、見放されたのである。

事実、天才的なカリスマ君主の後継が耐えるときは、フランス革命のように、その座には愚鈍な後継者が座ったときであり、その愚鈍な後継者の政治に民衆が嫌気が指したときに絶対君主制は崩壊するのである。



ゆえに安定した100年、200年の統治スパンで考えないといけない統治方法としては、現在「民主主義」が最もマシという結論になる。


しかしながら、「民主主義」は、民衆が意見交換して、みんなで決めていく統治機構である。
当たり前の結論を導き出すにも、民主主義の手続きとやらで非常に金、時間などのコストが嵩み、非効率でもある。そして、それに慣れてしまうと非常に退屈で、非効率な統治形態よりもカリスマによる「絶対君主」を望んでいくのである。

一昔前の、東京都知事選で「石原慎太郎」が勝利したのも、そのようなカリスマを求めた民衆の欲求であるし、今、
人の価値観において、歴史は繰り返されているのである。


話を戻して、「企業」の枠で統治機構を考えた場合、新興の中小企業の場合、ワンマン経営という「絶対君主制」がしかれている。これが最も効率的だからである。

企業の目的は利益の追求である。


利益を追求するために、効率的な企業統治をすることは当然である。
そして、企業の寿命は短い。一人の人生で往々にして足りるのであるし、それを超えるとしても
経営において、最初からそこを意識しない。
あくまで、創業・創生・成長期の効率性にこだわるのであろう。



現在、世界の趨勢は、企業統治においては、絶対君主制。政治においては民主主義が採用されている理由は、
ズバリ、想定されたその存続の時間軸の長さにあるのであると洞察する。